染付 兎に青海波 Rabbit & Sea Wave

江戸中期 Mid-Edo era
口径 width 50 mm / 高さ height 53 mm


ふくよかな白ウサギを三面に描き、周りを波文様で埋め尽くす。ウサギと波とは切っても切れない取り合わせで、古伊万里の絵柄の定番である。縁には歯車の歯のような文様が描かれるが、これは墨とか蝋(ロウ)などの撥水剤で文様を筆で描いて、その上から呉須を塗る白抜き技法。墨はじきとか蝋抜きなどと呼ばれる。

この猪口には大きめの窯傷(かまきず)があって、縁のところに 2 cm 以上のヒビが入っている。ただ釉薬はかかっており、これが製作の途中でできた傷であることがわかる。江戸時代の猪口にはこういった窯傷のあるものが少なからずある。現代の感覚だと「不良品」であり、そういうのをつかまされたら製造者にクレームをいれるところだろうが、江戸時代の人々はどう思っていたのだろうか?ある程度の傷には寛容だったのだろうか?

Three rabbits are drawn in a sea wave pattern. The relation between rabbit and wave cannot be broken in Japan. In making the white zigzag pattern, it is drawn with a water repellent and a blue pigment is overpainted. This cup has a big flaw, which would be rejected by a modern manufacturer. People in the Edo period were probably more tolerant of flaws.