Posts

Showing posts with the label 鉱物のお勉強 Study on Minerals

石膏のいろいろなかたち Various Forms of Gypsum

Image
1. 繊維石膏 Fibrous Gypsum Matsumine Mine, Odate City, Akita, Japan (秋田県大館市 松峰鉱山) Size: 105 × 83 × 63 mm / Weight: 657 g 透石膏(二水石膏の透明結晶)の標本はこのブログですでにいくつか紹介したところだが(たとえば これ や これ )、この標本は繊維石膏(fibrous gypsum または satin spar)の名で呼ばれていて、多数の石膏の結晶が、ある一方向に向かって一斉に成長して平行連晶したものとされる。こういう結晶成長のしかたは自然界では割とよくあるらしく、身近なところだと霜柱がそうだし、かつて耐火・断熱材としてつかわれた石綿は、ある種の蛇紋石や角閃石が繊維状に成長したものである。秋田県北東部の黒鉱鉱床に付随する石膏帯の産物。 Clear crystalline gypsum (selenite) specimens have been shown in this blog before. This piece of gypsum, called satin spar, shows a distinct texture caused by parallel growth of a number of crystals in one direction. The fibrous crystal habit often occurs in nature, which can be seen, for example, in frost columns and asbestos. It is from a gypsum deposit beside a  kuroko  (black massive ores containing copper, lead, zinc, etc.) deposit in the Northeast Akita. 別の角度から見た写真。 From different angles. 2. 雪花石膏 Alabaster Osabe Mine, Hinai-Machi Okuzo, Odate City, Akita, Japan (秋田県...

ヌケガラ状の鉱石 Incrustation Pseudomorph

Image
標本 #1 Osarizawa Mine, Kazuno City, Akita Prefecture, Japan(秋田県鹿角市 尾去沢鉱山) size: 12 × 8.5 × 3.5 cm / weight: 176 g 尾去沢ではしばしば「ヌケガラ状」の石英がみられた(以前紹介した別標本の記事は こちら )。重晶石の板状結晶を覆うように石英の微結晶が沈殿した後、重晶石が溶解し、その板状結晶の形だけが空洞として残ったもの(被覆仮晶)、と一般に解釈されている(「南部鉱物標本解説」原著:南部秀喜、茨城県自然博物館、1996年; 木下亀城・湊秀雄「続 原色鉱石図鑑」保育社、1963年 、など)。上の標本も板状の「空洞」が多数みられ、ヌケガラ石英の特徴を示す。石英をさらに覆うように薄茶色の重晶石の結晶が散りばめられ、よい景色になっている。これは相当量の鉛がバリウムを置換した含鉛重晶石 (Ba,Pb)SO 4 で、尾去沢ではしばしばみられる。その他、黒っぽい鉱物も散りばめられているが、結晶形が不明瞭で、わたしのスキルでは鑑別できない。 This specimen will be a quartz epimorph (incrustation pseudomorph) after tabular barite, which is not rare in Osarizawa (see another example shown before ). Brown crystals are lead-bearing barite, which is also not rare in Osarizawa. There are black minerals too, but I can't identify it. 反対側。含鉛重晶石とともに黒っぽい微細な鉱物が多数降り積もっている。どちら側が晶洞の中心方向を向いた「表側」だったのかいまいち不明だ。 The other side is sprinkled with brown barite and some blackish mineral. I don't know which side faced the druse's center. 尾去沢の...

硫塩鉱物を知りたい

Image
硫塩鉱物大集合。 鉱物の本などをみると「硫化鉱物」と「硫塩鉱物」とが独立に扱われている場合があるが、このちがいはそもそも何なのか?こういう分類をしてなにがうれしいのか?ちょっとしらべてみた。 参考にしたおもな本・記事は: Sulfide Mineralogy (Mineralogical Society of America Short Course Notes vol.1, ed. Paul H. Ribbe, 1974) の第1章と2章。 加藤昭「主要鉱物各説」(無名会、2017年)、同「硫化鉱物読本」(鉱物読本シリーズ No.4、関東鉱物同好会編、1999年)。 David J. Vaughan and Claire L. Corkhill, Mineralogy of Sulfides (Elements, Vol.13, pp.81-87, 2017) Wikipedia の Sulfosalt Mineral の項目。 うわつらをかいつまんだだけなので、生半可な解釈があったらコメントをください。 金属の硫化物 金属元素と硫黄とが結合した鉱物を硫化鉱物という。加藤昭「主要鉱物各説」によると、このうち原子どうしの結合が構成元素の原子価(原子から伸びる腕の数)の概念で説明可能なものを「 単純硫化鉱物 」とよぶ。たとえば 方鉛鉱 Galena: PbS = Pb 2+ + S 2- 輝銅鉱 Chalcocite: Cu 2 S = 2Cu + + S 2- 黄鉄鉱 Pyrite: FeS 2 = Fe 2+ + (S 2 ) 2- など。硫化鉛は方鉛鉱一択だが、銅の硫化物にはもうひとつ銅藍(Covellite: CuS = Cu 2+ + S 2- と解釈可能)がある。黄鉄鉱(または白鉄鉱)は二硫化物に分類され、硫黄原子が2個結合した二硫化物イオンと鉄とが結合した結晶、と理解できる。いわゆる硫化鉄(トロイライト Troilite: FeS や Fe 2 S 3 )は天然ではほとんどあるいはまったく産出しない。 実際の原子間の結合、結晶構造がどうなってるかはそんなに簡単ではない。ともかく組成上「単純に」解釈できる、というだけの話。 周...

硬度による四面銅鉱の鑑定 Hardness Test for Fahlore

Image
挑戦者を待ち受ける今回の主役の蛍石(アメリカ・イリノイ州産)。八面体のへき開片で一辺の長さは約 37 mm ほど。 Fluorite from Illinois, USA, waiting for the challengers. A cleaved octahedron with a ridge length to 37 mm. 加藤昭氏が執筆された「硫化鉱物読本」(関東鉱物同好会編、1999年)という冊子を 行きつけの白山の店 で先日入手した。硫化鉱物に関する一般的知識と主要な硫化鉱物の各論がしるされている。その「砒四面銅鉱」の項に、 「安四面銅鉱との識別は、硬度(蛍石のへき開片の間でこすると安四面銅鉱は粉末が出るが砒四面銅鉱は蛍石に傷がつく)や比重で」 おこなうことができる、とあった。蛍石はモース硬度 4 の標準物質であるのに対して、 砒四面銅鉱の硬度は 4 ~ 4½、そして安四面銅鉱のそれは 3 ~ 4 なので、たしかにかくあるべきだ。 手元に適当な蛍石のへき開片がなかったので、ふたたび白山におもむき、上の写真のような紫色の、試金石とするにはもったいないくらい立派な標本を入手。以下、実験の記録。 Akira Kato wrote in his book, which I recently obtained at a mineral and fossil shop in Hakusan, Tokyo , that comparison of hardness of fluorite (the standard mineral of the Mors scale hardness: 4) and fahlore can tell whether the fahlore is arsenic-rich tennantite (hardness: 4 ~ 4½) or antimony-rich tetrahedrite (hardness: 3 ~ 4). As I didn't have a suitable fluorite, I went to the shop again and obtained a piece of fluorite that might be too beautiful to b...

鉱物の磁性 Magnetic Properties of Minerals

Image
鉱物の磁性についていろいろしらべたので、せっかくなのでまとめておこうと思う。上の写真は秋田県鹿角市尾去沢鉱山産の菱マンガン鉱(右)と、栃木県鹿沼市日瓢鉱山産のパイロクスマンガン石の標本(左)とに、東急ハンズで買ったネオジム磁石(直径 5 mm、厚さ 1.5 mm、公称 2500 ガウス)をくっつけたようす。ぎりぎりくっつくかどうか、というくらい。 I looked into mineral's magnetism and made a summary of my understanding. The photo shows that two specimens of rhodochrosite from Osarizawa mine, Kazuno city, Akita, and pyroxmangite from Nippyo mine, Kanuma city, Tochigi, both attract neodymium magnets (𝜙 5 mm × 1.5 mm, 2500 gauss). 磁性の種類 磁石に引き寄せられる性質のことを磁性とよぶ。磁性には、おおざっぱにいって「強磁性」と「常磁性」の2つがある。あらゆる物質は、磁性の違いによって、「強磁性体」と「常磁性体」のいずれかに分類できる。 Any substance can roughly be classified into ferromagnet and paramagnet. 種類 Type 磁石へのくっつきやすさ How magnetically attractive? 自分も永久磁石になれるか? Can be a permanent magnet? 例 Example 強磁性 Ferromagnetism すごくよくくっつく Very much なれる Yes 鉄 Iron 常磁性 Paramagnetism ほとんどくっつかない Almost never なれない No その他大勢 Mojority 一般に、ある物質 A に、ある強さの磁石 M を近づけると、物質 A も弱い磁石になる(磁...

閃亜鉛鉱の蛍光 Fluorescence of Sphalerite

Image
秋田県大館市松峰鉱山産の黄銅鉱標本をブラックライト下および通常ライト下で撮影して比べた。黄銅鉱の陰にうもれる黒っぽい鉱物がオレンジ色に光る。 A chalcopyrite specimen from Matsumine mine, Odate city, Akita, is photographed under UV and normal lights. Black crystals emit orange lights. 夜中、鉱物標本にブラックライトを当ててあそんでいたら、 すでに紹介した松峰鉱山産の黄銅鉱標本 の中に変わった光を放つ部分を発見。黒っぽい鉱物がポツポツと散在していて、それらが発光しているようだ。いままで気づかなかった。結晶の感じからして、これらは閃亜鉛鉱と断定。いろいろしらべると、閃亜鉛鉱(ZnS)は立派な蛍光鉱物であることがわかった。たとえば木下亀城「原色鉱石図鑑」(増補改訂版、保育社)の蛍光鉱物の表では、閃亜鉛鉱は「橙」の地位を得ている。また 蛍光鉱物についてまとめたウェブページの情報 ( www.fluomin.org )によると、発色の原因はマンガンや銅原子の混入にあるらしい。 松峰の標本の蛍光は、やや赤っぽい橙色、というところか。手元にある閃亜鉛鉱をかたっぱしから調べたところ、比較的発色良好だったのが、同じ大館市内の黒鉱鉱山である深沢鉱山産で、色はやはりオレンジっぽい(下の写真を参照)。 釈迦内の黄鉄鉱標本 にくっつく黒っぽい部分も同様に発光したので、おそらく大館近辺の黒鉱鉱床の閃亜鉛鉱は蛍光するとみていいだろう。結晶質でない、塊状のいわゆる黒鉱鉱石はどうなんだろうか?手元に適当な標本がないので実験できない(国立科学博物館の標本にブラックライト当てたら怒られるかな)。 小坂の黄銅鉱 に付随する閃亜鉛鉱は、ほとんど反応しないが、ごく一部、スポット的に蛍光した。尾去沢も同様。でも尾太や秩父、神岡はまったく光らず。ともかく閃亜鉛鉱の蛍光は、ある限られた産地にだけ見られる性質のようである。 I found unusually colored spots on a previously shown chalcopyrite specimen under a black light. They ...