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Showing posts from November, 2019

石をもとめて川崎から新宿へ To get stones to Kawasaki and Shinjuku

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土曜の午後、石をもとめて川崎大師と新宿に行った。 川崎大師の仲見世通りに 鉱物をあつかっている店 があると聞きつけたのででかけた。ここはブレスレットとかアクセサリーなんかのお店であるが、最近原石、それも鉱物標本的なものを扱いはじめたらしい。中国の瑶崗仙(ヤオガンシャン)鉱山の石がいっぱいおいてあった。 蛍石と硫砒鉄鉱 Fluorite and Arsenopyrite 灰重石 Scheelite 産地はいずれも中国・湖南省郴州市宜章県・ヤオガンシャン鉱山。上の標本幅は約 4 cm、2500円、下が約 3 cm、500円。 From Yaogangxian mine, Yizhang County, Chenzhou, Hunan, China. The upper one: width is 4 cm, 2500 yen. The lower one: width is 3 cm, 500 yen. 蛍石は紫色の立方体で、新鮮な結晶面をみせる硫砒鉄鉱との取り合わせがいかにもこの産地らしい。全体に方解石がふりかかっていて、サイズは小さいがなかなかの佳品だったとおもう。店主にどんな石が好きなんですか、と問われて、なんでも好きですがまあしいていえば金属鉱物ですかね、といったら、店の奥からいろいろ金属っぽいものをだしてくれた。この産地は灰重石も有名である。径 4 〜 8 mm くらいの八面体結晶がいくつかついた鉱片があったので参考品として購入。裏側にはおそらく鉄マンガン重石とおもわれる黒い破片がついている。 川崎大師にははじめてきた。あいにくの雨で、参詣客はまばらだった。ちょっと遅い七五三の子どもたちもちらほらいた。数週間前にのどを痛めて、ようやく咳もおさまってきたが、まだ本調子でないので、咳止めの飴を買った。買ったのは仲見世の入口の店だったが、そこから歩くとまた飴屋があった。客がすくなくておばちゃんも暇そうだったのでその店でもう一袋買った。 左が松屋の飴総本舗のさらし飴(たんきり飴)、右が松屋総本店のせきどめ飴。2軒の松屋は仲良くやってるのかどうか。。。 ホリミネラロジー の即売会が新宿でやっていたので、それにも行ってみた。あんまり買う気はなかったのだが、いざ行ってみるとついつい財布のひもがゆるんでしまった。 炭酸青針銅鉱 

柱状の硫砒鉄鉱 Prismatic Arsenopyrite

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Quiruvilca mine, Santiago de Chuco Province, La Libertad, Peru (ペルー・キルビルカ鉱山) 標本幅 width 6 cm / 重さ weight 233 g ほぼ硫砒鉄鉱(FeAsS)のみからなる群晶。少量の石英、微量の黄鉄鉱をともなう。ふつう硫砒鉄鉱は菱餅形の結晶をなすが、これはその一軸方向に異常に伸びた、長柱状の晶癖を示す。世界的には大分県尾平鉱山のものが有名で、まるで割り箸のような長さ 10 cm もの結晶が知られるが、この標本はせいぜい長さ 15 mm、幅 2 mm くらい。横に筋(条線)があって、ちょっと先細りになっている。一部表面が金色に輝いているが、これはおそらく黄鉄鉱かなにかの薄層だろう。 ここキルビルカは 前に紹介したハッチンソン鉱 (TlPbAs 5 S 9 )とおなじ産地。ペルーの業者のウェブサイトを見ていて、興味深い標本が2つあったのでまとめて注文してみた。ペルーの新聞紙に包まれて届いたときには、地球の裏側からよくぞやってきたなと感慨深かった。鉱物標本的には他に硫砒銅鉱(Cu 3 AsS 4 )の産地でもある。 A cluster of arsenopyrite with small amount of quartz and pyrite. Arsenopyrite usually forms a rhombohedral crystal, but this example is elongated in one direction. Such crystal habit is best known in Obira mine, Ogata town, Oita, Japan, where the length of "chopsticks" reaches 10 cm. Quiruvilca's example is not so long; they are up to 15 mm with 2 mm width. The prism has striation perpendicular to the elongated axis and rather resembles a spike. A part of the crys

ハッチンソン鉱 Hutchinsonite

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Quiruvilca mine, Santiago de Chuco Province, La Libertad, Peru (ペルー・キルビルカ鉱山) 標本幅 width 7.5 cm / 重さ weight 443 g 石英と黄鉄鉱を主体とする鉱脈中のすきまに、長さ 5 mm までの柱状〜針状のハッチンソン鉱(TlPbAs 5 S 9 )が多数成長している。丸く集合する石黄(雄黄; As 2 S 3 )、板状の重晶石などをともなう。ハッチンソン鉱はタリウム、鉛、砒素を含むたいへん産出が稀な硫塩鉱物で、このようなリッチな結晶標本は世界でもここペルー・キルビルカ鉱山からしか供給されない。黒光りしているが、微妙に赤っぽい感じがするのが特徴。柱の断面は長方形で、いくつかの結晶が束ねられて、板バネみたいな形状を呈するものもある。モース硬度は 1.5 〜 2 だそうで輝安鉱よりやわらかい。タリウムは原子番号でいうと水銀の次、鉛の手前という重金属で、いかにも毒々しいが、そんなこととは関係なく、ただ単純に鑑賞に足る魅力的な鉱物だとおもう。 Prismatic or acicular crystals of hutchinsonite to 5 mm in length grow with spherical orpiment and tabular baryte in a vein mainly composed of quartz and pyrite. Hutchinsonite is a rare sulfosalt mineral including thallium, lead, and arsenic. Quiruvilca mine is the only locality producing such a richly crystalized specimen. The crystal has a slightly reddish black luster. Some form a group like a leaf spring. The Mohs hardness is 1.5 to 2 that is softer than stibnite. Thallium reminds me poison but I think thi

小坂の硫砒銅鉱 Enargite from Kosaka

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秋田県鹿角郡小坂町 小坂鉱山 内ノ岱鉱床 Uchinotai deposit, Kosaka mine, Kosaka town, Akita prefecture, Japan 標本幅 width 5.5 cm / 重さ weight 269 g 黒鉱鉱床中に硫砒銅鉱(Cu 3 AsS 4 )を主とする脈が生じて、長さ 5 mm くらいの柱状結晶が多数着生した。重晶石の結晶もみられる。母岩は黄鉄鉱主体のいわゆる黄鉱。柱の端面(c面)がきれいに出ているものが多い(屋根型・ドーム型になる場合もある。末尾の結晶図を参照)。そしてそのc面の形が唇のシルエットみたいにひしゃげていて、かつそのひしゃげ具合が厚い唇、薄い唇みたいに一定していないのが特徴的である。堀秀道「楽しい鉱物図鑑2」(草思社、1997)に、硫砒銅鉱の結晶は「独特の風格というか、一種の愛嬌があり、一度見ると忘れない」という記述があった。確かに輝安鉱(Sb 2 S 3 ; なんとなく威厳がある)とか車骨鉱(PbCuSbS 3 ; スター性が感じられる)なんかとは一味違っていて、わからなくもない。 An enargite vein formed in a kuroko -type deposit mainly composed of pyrite ("yellow" ore) and many prismatic crystals of around 5 mm in length grew with baryte. The top surface is mostly flat and its shape is deformed like a silhouette of lips, some being thick and others thin. Hidemichi Hori wrote in his book that enargite crystal was very unique and cannot be forgotten. Enargite gives an impression different from stibnite and bournonite and there would be reasons he thought so. この写真の角

紀州の蛍石 Fluorite from Kisyu

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三重県熊野市紀和町板屋 紀州鉱山 Kisyu mine, Kiwa-cho Itaya, Kumano city, Mie prefecture, Japan 標本幅 width 10 cm / 重さ weight 355g 黄銅鉱と方鉛鉱とを主体とする鉱石片の一面を蛍石の群晶が覆い、さらにその上に方解石が散らばる。蛍石は径 6 〜 7 mm ほどの立方体で、色は微妙に緑っぽい、あるいは紫っぽい感じもある。紫外線下では青白く蛍光する。方解石は釘頭状の平べったい結晶のようで、それらが立体的に寄せ集まっている。裏面には端正な六角柱状の結晶も見える。残念ながら標本が破断していて、接着剤で補修してある。 紀州鉱山は江戸期より金山として知られ、1930年代から石原産業が鉱業権を得て銅山として経営した。鉱石は四日市の製錬所に送られた。戦時中は東南アジアにも鉱山をもち、その後化学メーカーとして発展する基盤となった(会社の 「沿革」 より)。日本の銅山を 10 個あげよと言われたら、ここ紀州鉱山もはずせないのではないだろうか。とくに脈石に蛍石を多産した点が特徴的である。鉱物の結晶化時期は大きく4期にわけられ、1期では緑泥石・石英をともなって黄銅鉱・黄鉄鉱が、2期では方解石・蛍石をともなって方鉛鉱・閃亜鉛鉱が、3期では金・銀が、そして最後に方解石が晶出したという (たとえば 小野広一郎「紀州鉱山の鉱床について」鉱山地質、1961 など)。 鉱山跡には「 紀和鉱山資料館 」がたてられている。周辺には瀞八丁など名所もあることだし、機会があればぜひ訪れたいものだ。 Slightly greenish or violet fluorite crystallizes in cubes of 6 to 7 mm in size over a piece of chalcopyrite and galena ores with white flattened calcite. Kisyu mine has been known since the Edo period as a gold mine and produced copper ores after Ishihara Sangyo owned the mining right in 1930s. Kisyu

ラグビーロス

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4年に一度のラグビーワールドカップもついに終了。優勝したスプリングボクス(南アフリカ)のロック、デヤハー(Lood de Jager)選手は、205 cm の長身とかわいい顔で前回大会から注目していたが、決勝戦は開始 20 分ほどで左肩脱臼(?)で無念の交代。でもそんなに大事そうでなくてよかった。ひげはやしてるが、生来の童顔はかくせない、そこがかわいい。