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Showing posts from February, 2021

足尾の板状黄銅鉱 Pseudotabular Chalcopyrite from Ashio

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栃木県日光市 足尾鉱山 Ashio Mine, Nikko City, Tochigi, Japan Size: 14 cm × 8 cm × 6.5 cm / Weight: 945 g ほとんど黄銅鉱からなる塊状の鉱石。自形の結晶は足尾独特のもので、サイズこそ大きいが結晶面はシャープさを欠き、表面がざらざらしている。多くは厚板状をなす。その他、針状の石英や、曲面黄鉄鉱も伴っている。標本商によると塊状のカジカ鉱床ではなく、鉱脈タイプの鉱床から得られたものだという。 A piece of copper ore from a vein-type deposit in the Ashio mine comprises fairly large chalcopyrite crystals with unsmooth irregular faces, as is often found from Ashio. The crystal is mostly flattened, resembling a thick plate. 板状、というよりはミニハンバーグか五平餅が積み重なっている感じ。 銀白色に輝くのが黄鉄鉱で、 足尾独特の曲面を有するもの 。 足尾の黄銅鉱は結晶形のバラエティに富んでいて、なかでもめずらしいのが板状もしくは湾曲した葉状の結晶だ。ここに示した標本は結晶がルースなので判然とはしないが、板状結晶に分類していいものだろう。一般に黄銅鉱は微弱ながら磁力があって、ネオジム磁石にかすかに反応するが、この標本の磁力は例外的で、かなりよく磁石がくっつく( 磁性鉱物の番付 でいったら幕内下位くらいか)。こんなに磁力がある黄銅鉱はめずらしいとおもう。結晶表面が黒っぽく変色しているので、なにか微細な磁性の強い鉱物が付着しているのかもしれない。結晶が板状ということは、もしかしたらはじめ磁硫鉄鉱として結晶して、その後黄銅鉱で交代されたもので、多少の磁硫鉄鉱成分が残っているのかもしれないし、あるいは曲面黄鉄鉱に白鉄鉱がかなりの割合で含まれているのとおなじように、より磁力の強いキューバ鉱(CuFe 2 S 2 )が黄銅鉱中に混在しているのかもしれない(足尾にキューバ鉱がでるなんて話は聞い

赤絵輪線文 小猪口 Red Lines Small Cup

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17世紀末 Late 17th century 口径 top width: 69 mm / 高台径 bottom width: 36 mm / 高さ height: 57 mm この猪口にはちょっと形容しがたい魅力があり、骨董屋で手にとったとき、これはほしい、と思った。きわめて薄造りで、器の形も整っており、つくったのが相当熟練したろくろ職人だったことが想像される。もちろん上絵付けも、単純な線ながら、安定性を感じさせる。 It seems to me that this cup has an indescribable attractiveness. The cup's body is thin and well formed, suggesting that it was made by an expert craftsman. The simple red lines show a kind of stability. 光が透けるほどの薄造りである。時代は17世紀末〜18世紀初頭とおもわれる。 It is almost transparent.

竹林人物図のぞき猪口 Persons in a Bamboo Groove Nozoki-type Cup

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18世紀末 Late 18th century 口径 top width: 50 mm / 高台径 bottom width: 37 mm / 高さ height: 62 mm これは竹林の七賢(のだれか)を描いたとも、寒山拾得図とも言われる。こういう中国人風の人物が林の中にたたずむ図柄は、18世紀後半から19世紀初頭に流行した古伊万里の定番であり、当時の人々が中国の文化や思想に親しんでいたことを示しているとおもう。 This kind of drawing, which is probably (some of) the seven wise men in the bamboo groove fabled in Chinese classic or Hanshan and Shide (Tang Dynasty Buddhists), is often seen in old Imari wares in the Late 18th century to the early 19th century, showing that Japanese people in the Edo period were familiar with Chinese culture and thought. もうひとりいる。 Another person. わたしはこの図柄、とくに竹の葉っぱの文様が大好きで、他にも同じ柄の器をあつめている。 I like this pattern, especially the bamboo leaves. Here are some of my collection of bamboo-leaf dishes. 染付 竹林文 長皿 Bamboo-leaf Pattern Rectangular Dish 18世紀後半 Late 18th century Size: 21 cm × 11.5 cm 染付 竹林文 角なます皿 Bamboo-leaf Pattern Square Dish 18世紀後半 Late 18th century Size: 13 cm × 13 cm これらはおなじデザインで、つくられたのもほぼおなじ時代だと考えられる。特徴的