Posts

Showing posts with the label 工芸 Crafts

えじこの郷土人形 Ejiko Dolls

Image
どちらも「えじこ」に収まった赤子をかたどった東北地方の郷土人形。左は秋田市の八橋(やばせ)地区でつくられた土人形で、おそらく明治中頃のもの。黄、赤、緑、水色などの顔料はいい具合に古色を帯びて、古人形の味わいがよくでている。よくみると水色の布には水玉文様が描かれていて、当時の服飾事情が垣間見える。 右は山形県蔵王温泉在住の岡崎幾雄の作品。基本的には「こけし」の作家さんだが、たまにこういった「えじこ」の作品をつくっているようだ。わたしは特段こけし愛好家というわけではないが、10年くらい前に蔵王の温泉街をぶらぶら歩いて、単にかわいいなとおもって買い求めた。 Both dolls were made in the Tohoku Region, Japan, depicting a baby embedded in an  ejiko . The left one is a clay doll made in the Yabase district, Akita, probably in the late 19th century. The traditional yellow, red, green, and light-blue pigments make it attractive. The dot pattern on the light-blue cloth around the neck may indicate the fashion at that time. The right one is a wooden doll made by Okazaki Ikuo, Zao Onsen, Yamagata. He is basically a kokeshi artist, but sometimes made this kind of ejiko dolls. I purchased this doll about ten years ago when walking around the town of Zao Onsen. 八橋人形 高さ 7.1 cm 幅 5.4 cm 岡崎幾雄 作 高さ 10.4 cm 幅 9.1 cm 「えじこ」とはかつて日本の農村・漁村でつかわれた民具で、親がし...

岩手と秋田の旅の戦果 Results of a Trip to Iwate and Akita

Image
1 鍛冶町焼の小徳利 Small Kajicho Bottle Height 14.3 cm / Body width 16.6 cm 岩手と秋田をめぐる旅の途中で手に入れたものをいくつか紹介する。ひとつめは盛岡市内の古物店で手に入れた鍛冶町(かじちょう)焼のちいさな徳利。たっぷりかかった白釉は会津本郷焼に似た感じがする。褐色の胎土はよく焼きしまっている。厚手で手取りは重いが、その割に高台は薄く造っている。臭いからして油入れだったかもしれない。 The items in this page are some of what I obtained in a trip to Iwate and Akita prefectures. The first one is a small bottle which I found at a shop in Morioka City, and is thought to be baked in Kajicho, Hanamaki. I think the white glaze is similar to what is seen in Aizu-Hongo wares. The brown clay is firmly baked. The body is heavier than it looks, but the bottom rim is thin. It might be used as an oil bottle. 高台周り。写真では見えない部分に大きなひっつきがある。 The bottom shape. A piece of kiln's brick or something attaches to the body, which occurred during firing. 江戸時代も後期(19世紀前半)になると東北各地に陶磁器の産地が次々と誕生したが、鍛冶町焼もそのひとつ。窯はいまの岩手県花巻市鍛治町(かじまち)にあり、本家は明治末頃、分家は昭和初頭頃までつづいた。鍛冶丁焼の表記もある。こういった白釉の他、図録を見ると、照りのある黒釉や飴釉、青白いなまこ釉などさまざまな釉薬がみられる(「日本やきもの集成1」平凡社、1987年)。 The Kaji...

新旧の相良人形 New and Old Sagara Clay Dolls

Image
猫に蛸 Cat and Octopus 相良隆馬 Sagara Ryuma 高さ height: 10.8 cm 蛸が頭にからみついているこの猫ちゃんは、相良人形の当代(八代目)、相良隆馬氏の作品。蛸は多幸に通ずる縁起物で、東北あたりでは年取り(大晦日の夜)の膳には酢だこが欠かせないほどだ。この土人形は10年くらい前に週刊文春の表紙に採用されるなど( 可児弘明、タコペディア にっぽん、2012年 )、そのユニークな取り合わせから猫好き(蛸好き?)の人々の人気を得て、いまや入手困難なレア品にまでなっている。人形の型自体は昔から相良家に伝わっているものらしいが、八代目の独特の絵付けが現代に受け入れられているのだろう。 This unique combination of a cat and an octopus has been known in old Sagara dolls. In Japan, octopus is thought to bring good fortune, and people in the Tohoku region eat pickled octopus on New Year's Eve. In the past ten years, the contemporary and cute painting by Sagara Ryuma (the 8th master of the Sagara doll studio) has received widespread acclaim, bringing further renown to the the Sagara doll. 底は閉じられていて、作者の銘がある。 お囃子 A Drummer 19世紀 19th century / 高さ height: 8.6 cm / 幅 width: 11.1 cm ここから紹介する土人形は江戸後期から明治初頭頃の古人形で、相良人形かどうかの確証はない。陶磁器や漆器など他の工芸品もそうだが、当時の職人は作品に銘を入れるなどということはまずなく、今となってはそれがどこの誰がつくったものなのか不明なことが多い。ただしある種のトレードマークのようなものは存在し、この土人形の...

小幡人形 Obata Doll

Image
高さ height: 12.5 cm 鮮やかな水色の着物を着た少年がうさぎを抱いている。よくある郷土人形に比べてお顔がとてもリアルに描かれているとおもう。からだがちょっと斜めに傾いているがそれがまたリアルだ。いっぽうでうさぎの顔はかなりデフォルメされていて、その対照がおもしろい。うさぎは多産で昔から縁起物とされていて、古伊万里の図柄でも定番だ。なにか厄除けとか招福などの意味がこのうさぎの顔にこめられているのかもしれない。 A boy wearing a sky blue kimono holds a rabbit. The facial expression is realistic compared to other Japanese folk dolls. The doll's appearance is made more realistic by the body's slight slant. It is interesting that the rabbit's face is quite deformed. Since rabbits have numerous babies, they have long been regarded as a lucky animal. I guess people found meanings of warding off evils and inviting good luck in the rabbit's face. ほっぺが赤くてかわいい。着物の柄も後ろまでていねいに描いており、全般的に手が込んでいる。 The face with red cheeks is attractive. The kimono pattern is finely drawn even in the back. この土人形は滋賀県五個荘町(現・東近江市)小幡在住の細居源悟氏の作品で、製作地の名前から小幡人形とよばれている。昔はこういった人形のことを「でこ」と言ったので「小幡でこ」とも称される。小幡でこの歴史は古く、18世紀はじめ頃にさかのぼる。創始者の細居安兵衛からいまの源悟氏まで、約300年間、九代にわたって伝統が受け継がれているというから大...

高島屋 酒器展 Takashimaya Sake-ware Exhibition 2021

Image
各務賢周 黄瀬戸ぐいのみ Kagami Masakane, Kiseto Sake Cup 口径 53 mm / 高さ 41 mm / 高台径 34 mm ことしも日本橋高島屋の酒器展にいった。品数は例年より少なめのような気がしたが、量より質、らしい。いくつか気になった品があった中で、口のところが梅の花のようにつくられた黄瀬戸の器を購入。黄瀬戸は日本のやきものの中でもかなり好きなもののひとつだ。釉の濃淡、油揚げのような肌、焦げ具合はなかなかのできばえではなかろうか。正月の器としてもふさわしい。 釉だまりには緑色のタンパンがほどこされる。

井の頭公園へ Inokashira Pond

Image
以前、井の頭公園にいったときは池がかいぼり中だったが、その後いままでみられなかった藻が繁殖して水生動物の生育環境が改善されたというニュースをみたので、久しぶりにいってみた。緊急事態宣言下の週末で遠出もままならないので、公園ぐらいしか行くところがないが、園内はそこまで混雑はしていなかった。 I went to Inokashira Pond, Musashino City, that was drained for maintenance at the last visit. Water plants have grown again because of improvement of water environment. たしかに水草がみられる。 Water plants recover after draining. カモのつがい。 A pair of ducks. いまいち「使用前」の状態がよくわからないのでなんとも言えないが、この人口密集地帯の池としてはきれいになったんだろう。 その後、中道通りの「 マジェルカ 」というお店で小さなガラスの器を買った。 うらやすガラス幸房 高さ: 68 mm あげ底になっていて適度に重量感があり、色もきれいで気に入った。こういうのはありそうでない。綿棒入れとしてつかうことにした。 このお店は一般に障がい者とよばれる人たちの工芸・手芸等の芸術作品がたくさん売られている。こういう作品はえてして品物の品質・芸術性の高さと値段とがつりあってないことが多い。この器だって1000円でもまだ安いくらいだ。このお店は「ウェルフェアトレード (= Welfare + Fairtrade)」を標榜しているそうで、ふむふむとうなずかずにはいられない。 I bought a small glassware at Majerca, Nakamichi Street, Kichijoji, that sells many artworks made by persons who are generally called handicapped.

辻村塊 引き出し黒ぐいのみ(高島屋酒器展) Black Sake Cup by Tsujimura Kai

Image
辻村塊 引出黒ぐいのみ 胴径 78 mm / 高さ 49 mm 歳末恒例の日本橋高島屋・酒器展にいってきた。今回みつけた器のタイトルにある引き出し黒というのは、わたしのうろ覚えによれば、千利休の時代に美濃で確立した手法で、黒釉をかけて簡易な窯で焼いて、赤熱した器を引き出して急冷(場合によっては水冷)する、というワイルドな焼きもののこと。瀬戸黒ともいう。京都の黒楽茶碗と似たような手法だとおもう。急冷することで渋い黒の風合いが得られる、らしい。この作品は、黒の釉薬に嫌味がなく、腰のあたりのカセ具合もよろしく、たいへん気に入った。酒器展の会期は1月5日まで。 I went to Takashimaya, Nihonbashi, to see a special exhibition of  sake -wares. The correct title of the above ceramic cup means a taking-out black sake cup, which uses a technique invented in the late 16th century in Mino district (Gifu prefecture) to make a black glaze better by means of rapid cooling after firing. It is also called seto-guro , and will be similar in technique to raku-yaki in Kyoto. I liked a kind of naturalness of the black glaze of this cup. 作者の辻村塊さんのことはなにも知らなかったのだが、あとでネットでしらべたところ、お父さまの辻村史朗さんがたいへん有名な陶芸家で、海外の美術館にも作品が収められているそうだ。あの荒川豊蔵が生前絶賛した、と書いている記事もあった。ともかく、気に入った器がみつかってよかった。 日本橋のあたりはいわゆるアンテナショップがいっぱいある。そのうちのひとつ滋賀のショップに立ち寄って鮒寿司を買った。鮒寿司は「臭い」とよくいわれるが、いまだかつてこれを臭いとおもった...

土人形 Clay Dolls

Image
先日、昼ごはんのあとちょっと町ぶらしたら、かわいい土人形をみつけた。 I found a lovely clay doll in walking around after a lunch. 尾崎人形 Osaki Doll 角力取り Sumo wrestler(高さ height 10 cm) こういうのを「へたうま」というのか。おなかの毛とか、おしりとか、愛らしい。 佐賀県神埼市に古くから伝わる土人形で、一時途絶えていたが、近年復興され、こうして東京の店でも買えるぐらい人気だという。尾崎人形には20種ほどが伝わっているが、中でも鳩笛(地元ではテテップウという)が特徴的でこどもの疫病をはらうお守りとしても愛されてきたという(「しおり」より)。この力士人形は土鈴になっていてふると音がする。古くからある赤ちゃんのおもちゃ、といったところだろう。 This will be a "skillfully poor" craft. What lovely belly and backside! The Osaki doll has been made in Kanzaki city, Saga prefecture, since hundreds of years ago. It was once discontinued, but some local people recently revived the tradition. There are about twenty types in the old Osaki dolls. The most famous one is pigeon whistle (ocarina?), which was given to children as a charm to avoid disease. This sumo wrestler is a clay bell, which would be given to a baby in earlier times. こういった郷土人形、郷土玩具のたぐいは全国いたるところでつくられたが、近代化の波のなかで廃れたものも多い。それでもそのいくつかは現在に伝えられ、地方の土産物屋なんかに...

麦わら細工 Straw Marquetry

Image
20世紀前半 Early 20th century 左のたんすは幅 10.5 cm、高さ 12.5cm、右の鏡台は幅 9 cm、高さ 15 cm。 Chest of drawers: width = 10.5 cm, height = 12.5 cm. Mirror: width = 9 cm, height = 15 cm.  ひな祭りの道具か子供のままごと道具か用途はよくわからないが、なかなかよくできたミニチュアの家具である。これらは「麦わら細工」とよばれ、刈り取り後の麦の茎(麦わら、麦稈)を乾燥、染色して平らにのして器物に貼りつけたもの。麦わらは頑丈で光沢があるので、まるで漆を重ね塗りしたかのような効果が得られる。 These are miniature furnitures decorated with straw marquetry (a technique covering a material with dried, colored, and flattened straws), probably used as child's toys or as decoration in Hinamatsuri (March 3rd, Girl's Festival). As straws are firm and lustrous, straw marquetry looks like a lacquer ( urushi ) ware. たんすのほうは金属製の取っ手がついていて引き出しが開く。鏡台にも金具がついているがこちらはダミー。別に隠し扉があって中にモノを入れられる。 The drawer has a metal handle. The mirror's handle is a dummy, but there is a secret slit from which any small item can be stored. 日本の麦わら細工については大田区立郷土博物館編「麦わら細工の輝き」(1999)がくわしい。麦わらを編んで簡単な人形をつくるような遊びは昔から子どもたちのあいだでおこなわれていたが、もっと精緻な手工芸品としては兵庫県の城崎温泉と東京都大田区の大森とが二大産地になる。...