瑠璃釉 小猪口 Blue Glaze Small Cup

17世紀後半 Late 17c
幅 width 62 mm / 高さ height 43 mm


高台の畳つき以外、すべて瑠璃釉がかけられた無地の猪口。染付は、呉須(ごす)とよばれる、コバルトを含んだ青色の顔料を水で溶いて、筆を使って絵や文様をかいたあと、その上に透明釉をかけて焼いたもの。いっぽう瑠璃釉(るりゆう)とは、あらかじめ呉須を混ぜこんだ透明釉を器にかけて焼いたもの。おなじ青色の磁器だが、製造プロセスが異なる。

瑠璃釉の古伊万里は数が少なく、貴重であるだけでなく、上手の作品が比較的多い気がする。呉須は、当時は国産のものは品質が悪かったらしく、主に中国からの輸入品がつかわれ、貴重な顔料だったという。だから、呉須をたくさん消費する瑠璃釉は、もともと高価なものだったろう。また透明釉をかけるときには、器の表面に均一に釉をまとわせるために、バケツ(のようなもの)に入れた釉の中に器を沈めたり、柄杓でまわしかけたりする。したがって瑠璃釉の場合、その貴重な呉須に「ロス」が出てしまう(バケツの中に使われない呉須が透明釉にまじって残ってしまう)。まあそれが理由なのかどうか、よくわからないが、ともかく瑠璃釉はそれ自体たいへん美しい魅力をもっているだけでなく、希少なものである。

This small cup is covered by Ruri (blue) glaze everywhere but the very bottom. The Ruri ware is different from the majority of blue-and-white Imari ware, Sometsuke. In making Sometsuke, any pattern is painted with Gosu (blue pigment including cobalt), and then it is covered by transparent glaze. In making Ruri, the transparent glaze already includes Gosu. The Ruri Imari ware is rare.