宮田又の黄銅鉱 Chalcopyrite from Miyatamata

秋田県大仙市協和荒川 宮田又鉱山
Miyatamata Mine, Kyowa Arakawa, Daisen City, Akita, Japan
幅 width 50 mm / 重さ weight 78 g


黄銅鉱のもっとも大きい結晶は幅が 12 mm くらいあり、おもしろい形をしている。これは双晶とよばれるもので、2つの結晶が結晶面を共有しつつ組み合わさっている。その形から「耳付双晶」という。イカの耳(エンペラ)のようであり、象か犬の顔のようにも見える。一般的に、双晶は他の結晶よりもサイズが大きくなる傾向があるようである。またこの黄銅鉱の双晶は、他の結晶よりも黄色が濃い感じがする。結晶の成長にともなう筋(条線)も発達している。結晶の裏側は、下の写真にみるように、すぱっと平らになっている。

The largest chalcopyrite crystal is 12 mm in width and forms a penetration twin. It is like an ear of squid, or looks like a face of dog or elephant. The back side is flat as is shown in the next picture.

日本鉱物誌・改訂版(和田維四郎、1916)より引用。

この標本の耳つき双晶は、おそらく上の図二十三(足尾産)か図二十四(阿仁産)か、あるいはその中間タイプか、と思われる。いずれにしても、耳のついた部分が片方しかあらわれない不完全型で、また上の例よりも耳の部分が肥大したタイプである。裏側のすぱっと平らになっている面が p 面であることは確かである。

Some typical chalcopyrite twin crystal forms are shown in the above. This example is incomplete, lacking a half of the crystal, and the ears are much bigger. The flat crystal surface in the back side is surely p(112).