秩父の板状方鉛鉱 Platy Galena from Chichibu

埼玉県秩父市中津川 秩父鉱山 大黒鉱床 Daikoku Deposit, Chichibu Mine, Nakatsugawa, Chichibu City, Saitama, Japan
Size: 60 × 47 × 37 mm / Weight: 184 g

秩父鉱山大黒鉱床から産した鉱片で、これも前回にひきつづき先日の東京ミネラルショーの戦利品。上の写真で、右側の樹脂光沢を放つ黒色部分が閃亜鉛鉱、左側の白っぽく見えているのが方鉛鉱。その他、少量の石英と茶色い炭酸塩(菱鉄鉱?)とをともなう。大黒鉱床は石灰岩体に熱水が大規模に貫入して生じたので、このように炭酸塩鉱物が散りばめられるのがお約束である。

さてこの標本に特筆すべきは、方鉛鉱の八面体結晶がスピネル式双晶をなして厚板状になり、それらが多数平行連晶しているところ。一部愛鉱家のあいだでは「板状ガレナ(略称:バンガレ)」とよばれ、秩父鉱山の名物とされる。実は昨年の東京ミネラルショーでも同様の標本を手に入れたのだが、今回のほうがより結晶が立派で、閃亜鉛鉱もともなっていたので、今年もお迎えした。似たような標本を買い集める、ほとんどビョーキ、、、か。

This piece is also from my recent collection at Tokyo Mineral Show 2020. Seen in the above photo are sphalerite with resinous luster in the right and specular galena in the left, accompanied by some quartz and brown carbonate that testifies that Chichibu-Daikoku is a skarn-type lead-zinc deposit. It is remarkable that galena crystals are spinel-law twinned to form a large plate. I showed a similar platy galena last year.

三角または六角の面が整然とならんでいる。全体として一枚の板状の結晶を形成している。下の写真の左端の黒い結晶は閃亜鉛鉱の八面体結晶。

クレーターのような穴がぽこぽこあいているところがある。また以前紹介したメキシコ・ナイカ鉱山の方鉛鉱と同様、成長丘が発達して段々畑のような幾何学文様がみえるところもある。これらは結晶成長が急速に起こったことによる骸晶の特徴なのか、あるいは成長終了後に融解したことを示すものなのか、いまひとつ判然としない。

There are several craters on the galena plate. And there is terrace-like structure with striations that is similar to the galena specimen from the Naica Mine, Mexico. I am not sure that these suggest rapid crystal growth or melting after crystal formation.

補足