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Showing posts from June, 2018

尾太の閃亜鉛鉱 Sphalerite from Oppu

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青森県中津軽郡西目屋村 尾太鉱山 Oppu Mine, Nishimeya Village, Aomori, Japan 幅 width 10 cm / 重さ weight 422 g 閃亜鉛鉱と石英の群晶。閃亜鉛鉱はおおむね八面体をなし、黒光りしている。サイズこそ小さいが、まさに一点のくもりもない、ツヤツヤした肌だ。八面体が2つくっついたスピネル式の双晶もみられる。裏面も結晶しており、こちら側はキューブ状の黄鉄鉱がみられる。鉱脈中の空洞に、なかば孤立して結晶が成長したもので、いわゆる浮きゲス(またはフローター)に近い。「自形標本」という述語が許されれば、そう呼ぶにふさわしいだろう。 A cluster of sphalerite and quartz. Lustrous black sphalerite mostly forms an octahedron. Some spinel-law twins are also seen. There are cubic pyrite crystals in the back side. 尾太[おっぷ]鉱山は、世界遺産・白神山地の東部に位置する、江戸時代から開発されてきた古い鉱山。戦後、再開発によって顕著な鉱脈が発見され、山あいの町は大いににぎわったという。この標本には古いラベルがついていて、1971年7月に入手したもの、とある。閉山の7年前にあたるから、おそらく鉱山としての衰退期にはいる直前、もっとも鉱脈が豊かだった頃の産物だろう。 Oppu mine, located at east of a world natural heritage, Shirakami Mountains, had been developed from Edo period. After the second world war, a large-scale vein was found and the mining town became flourishing. According to an old label, this specimen was collected in 1971, when the vein was still plentiful but remained seven years befor

阿仁の黄銅鉱と方解石 Chalcopyrite & Calcite

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秋田県北秋田市阿仁萱草 佐山鉱山 Sayama Mine, Ani Kayakusa, Kita-Akita City, Akita, Japan 標本幅 width 45 - 55 mm / 重さ weight 100 g もうひとつの標本 と同じ大山ヒの産出。けっこう大きい黄銅鉱の結晶の集合を覆うように、方解石の細かい結晶がカリフラワーのようにくっつき、さらにその上に小さな黄銅鉱がぽつんとのっている。大きいほうの黄銅鉱には、方解石がびっしりくっつく面と、そうでない面とがあるようで、後者のほうは、やや変質しつつも、にぶい光を放っている。方解石は母岩(緑色凝灰岩か)にも部分的に着生している。「どうしてこうなった?」と思わずにはいられない。 From Oyama vein like another sample . A small chalcopyrite sits on white cauliflower-like fine calcite crystals coating a fairly large chalcopyrite conglomerate. The larger one has two types of crystal surfaces on which calcites are scattered and not. The surface that repels calcite gives out a dull shine. Calcite also grows on a piece of the (green tuff) bedrock in part. I can't help thinking why it turns out like this. 佐山鉱山はなんといっても閃亜鉛鉱の巨大結晶が有名である。秋田県鉱山誌(秋田県鉱山会館、2005)によると、閉山直前の1967年には、金が月産 39 kg、銀が 3 kg(金と銀は数値が逆?)、銅が 1 トン、というから、この時代まだ日本各地に点在した小規模鉱山のひとつだった、といえる。ただその割には、佐山産の標本はけっこうたくさん出回っているようにおもう。寺島靖夫「探検!日本の鉱物」(ポプラ社、2014)によると、佐山鉱山の鉱脈は晶洞が多く、閉山後も標本用に操業

黄銅鉱と燐灰石 Chalcopyrite & Apatite

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Dashkasan District, Azerbaijan (アゼルバイジャン共和国ダシュカサン) 幅 width 50 mm / 重さ weight 157 g 四面体状の黄銅鉱の単結晶はなかなか大きく、最大辺は 2 cm ほどある。表面は緑青をふいたがごとく変質しており、本来の輝きはない。そのとなりの方解石は 3 cm x 2.5 cm くらいの広い結晶面をみせておりこれもなかなか立派だ。さらに直径と高さがともに 1.2 cm くらいの柱状の燐灰石も寄り添っている。燐灰石は表面は白っぽいが、裏側の割れた断面をみると、内部は黄色味がある。母岩は磁鉄鉱が主体のようで、磁石がよく吸いつく。 A single crystal of chalcopyrite forms a tetrahedron with the side length to 2 cm, showing a greenish color because of oxidation. The neighboring calcite shows a wide crystal surface of 3 cm x 2.5 cm. There is also a cylindrical crystal of apatite with both diameter and height of 1.2 cm. The internal color of apatite is yellowish. The host rock seems to be magnetite. アゼルバイジャン共和国の Dashkasan (Dashkesan や Daskasan の表記も / アゼルバイジャン語だと Daşkəsən) の産出品。スカルン型の鉱床を胚胎していて、コバルトや鉄を目的に採掘したらしいが、鉱物標本としては塩素燐灰石が有名のようである。ただこの標本の燐灰石がどの種類のものかは不明。それはともかく、こんな黄銅鉱の単結晶が燐灰石と並んでいると、ちょっとドキッとする。足尾銅山には熱水鉱脈型の鉱床にくわえて河鹿(かじか)とよばれる塊状交代鉱床があって、これらの鉱床では黄銅鉱のみならず燐灰石の良結晶も産したようだが、このコーカサスの標本とはちょっと雰囲気がちがう気がする。やっぱり世界は広い。

古伊万里の買い方 How to buy Imari ware

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「自分も古伊万里(の猪口)を手元におきたい」とおもった方のために、おすすめの入手法を紹介する。 I introduce how to buy Imari ware in Japan from my experience. 二匹の蝶を陽刻であらわした瑠璃釉の変形皿(19世紀、幅 15.5 cm、大江戸骨董市にて入手)。 A blue-glaze butterfly plate (19th century, 15.5 cm, at Oedo Antique Market). 古伊万里の器は、キレイで、耐久性があって、実用性もあり、かつ値段も手頃(もちろんピンからキリまであるが)なので、趣味のアンティークとしてもっともおすすめできる。身近なところにひとつ、ふたつ古いものがあると、人生が豊かになった気がする。 以下、いくつかの観点から、猪口のみならず、食器としてつかえるような古伊万里の入手法、使用法について、私見をのべる。美術品としての古伊万里はわたしの守備範囲外なので、あしからず。 1. どこで手に入れる?  Where to buy? まずは古美術店で買うのをおすすめする。古伊万里初心者は、実際にいろいろな品を手にとって、店主と話して、勉強しながら買うのがよい。古伊万里以外の品もあるだろうし、ともかく本物に触れ、目を肥やすのが目利きへの近道なのだ。 古美術店にもいろいろなランクがあるが、別に買わなくたって、見るだけだって、こちとら構うことはない。一流の店は客をえらばない。ただ、われわれがめざす18世紀以降の古伊万里が骨董品として珍重されだしたのは、たかだかここ数十年のことであり、古美術界では下手物。本当にランクが高いお店にはまず陳列されてない。その辺は適当に店を選んで。。。 骨董市もおすすめ。東京ビッグサイトで年2回やっている「 骨董ジャンボリー 」は、入場料がいるが、なにしろ出店数が多いので、一度にいろいろな品物を目にできる良い機会である。東京だと「 平和島骨董市 」(こちらは入場無料)も有名。あと露店の骨董市では、東京国際フォーラムでやってる「 大江戸骨董市 」も行きやすい。日曜には神社の境内などで青空骨董市が開かれているので、早起きしてでかけてみよう。 ネット購入も、とくに地方に住んでる人には便利であろう。古美術店

ブーランジェ鉱 Boulangerite

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Trepca Mine, Mitrovica, Kosovo (コソボ共和国) 幅 width 65 mm 薄茶色のもこもこしたバラの花のような菱鉄鉱(FeCO 3 )の上に毛状のブーランジェ鉱(Pb 5 Sb 4 S 11 )がまとわりつくように結晶しているようだ。針状の石英や方解石もみられる。裏側には、鉄を多く含んだ閃亜鉛鉱の結晶が光っている。銀白色で菱餅型の硫砒鉄鉱もみられる。 Hairy boulangerite crystallizes on light brown spherically gathered crystals of siderite, which look like a rose. There are also quartz needles, calcite, black marmatite (sphalerite) shining in the back and tiny arsenopyrite. トレプカ(Trepca / Trepča) 鉱山は、ヨーロッパ最大ともいわれるスカルン型の鉱床を有する鉛・亜鉛鉱山で、中世から採掘され、いまなお稼働中らしい。ブーランジェ鉱や毛鉱というと、日本では秩父鉱山が有名で、やはりおなじスカルン鉱山である。なにか共通点があるのかもしれない。 新宿でやってる東京国際ミネラルフェアで、イタリアから来ている業者がトレプカ鉱山の石をたくさん展示していて、店主が「日本人はブーランジェ鉱に興味がない」と言っていたので、そんなことないぞ、と大和魂をふりしぼって、この一点を選んでみた。 Trepca is known to be the biggest lead-zinc mine in Europe developed from Middle Ages and is still active. Chichibu mine is famous in Japan for producing beautiful boulangerite specimens. There may be some similarities between them because both mines are of skarn type. I met a shop from Italy in Tokyo I

プロ野球 巨人ー日本ハム戦

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東京ドームでプロ野球交流戦「巨人ー日本ハム」戦を観戦。清宮くんがでるかと思っていたのだが、今週から2軍落ち。。。しかし実はそれ以上のドラマがあった。 野球はあんまり興味ないけど、この時期、巨人ー日ハム戦が東京ドームであると、ふと見に行きたくなる、選手とかよく知らないながら。 あとで知ったが、日ハム先発の村田透は、大阪体育大卒で巨人にドラフト1位で入団。しかし1軍にあがれず、戦力外となり、マイナー契約でアメリカにわたる。ここでもなかなか芽が出ず、メジャー登板は1度きりだったが、去年、日ハムが逆輸入し、さいきん調子が出てきて、今日は今シーズン3勝目を、古巣巨人相手に飾った。むかし野村克也氏がヤクルト監督だったころは、野村再生工場、といわれていたが、いまや栗山再生工場だ。 巨人の先発鍬原は、ちょっと不安定で、デッドボール・フォアボール多かったし、まあ今後に期待、というところだろう。彼は巨人ドラフト1位のルーキーで、初先発だった。 途中、上原が中継ぎで出たときは、ドームが湧いた。いきなりホームラン打たれたけど。上原は日ハム村田の大学の先輩で、今日おなじフィールドで投げあった、というのが、またなにか因縁を感じる。 阿部慎之助がチャンスで代打で出たときも湧いたが、ヒットは打てなかった。阿部は、ドームの2階の上の方からでも、ソックスの黒さで認識できる(下の写真参照)。