東京大学博物館 Tokyo University Museum
東京大学総合研究博物館・本郷本館の常設展示「UMUTオープンラボ〜太陽系から人類へ」を見た。写真はイラクの土器(前3世紀)、茨城の埴輪、ボリビア・ティワナク遺跡の杯(前2〜11世紀)、ペルー・クントゥルワシ遺跡の黄金製装身具(前8世紀)、日本産の原油、など。
Permanent collection of University Museum, University of Tokyo. Picture shows an Iraqi earthenware (3c BC); Haniwa (a clay image), Ibaraki; A cup, Tiwanaku, Bolivia (2c BC - 11c BC); Golden ornament, Kuntur Wasi, Peru (8c BC); Crude oil in Japan; etc.
東京大学本郷キャンパスに、だれでも無料ではいれる博物館があるので、先日行ってみた。
まずはいると、巨大なガラスケースがあって、その中に博物館のコレクション50点あまりが「雑多に」並べてある。鉱物関係では、山梨県乙女鉱山の水晶や愛媛県市ノ川鉱山の輝安鉱が鎮座している。
I went to the University Museum at University of Tokyo, Hongo, that is free for everybody. There is a big glass case at the entrance in which more than fifty specimens are randomly displayed.
輝安鉱のオブジェは、誰が何の目的でこういうのをつくったのか、説明はなかったが、これはすでに芸術の域に達しているだろう。実際はこんな風に、基盤から直立して産出したわけではなく、幅が 30 〜 50 cm 程度の鉱脈中のすきまに沿って、細長い結晶が這うように成長したといわれる(地質調査所編「日本の岩石と鉱物」東海大学出版会 1992)。その他、日本産出の著名鉱物標本がいくつか展示されていた。
この展示で一番興味をひいたのは荒川鉱山の三角式(または三角針式)黄銅鉱である。とくに写真左上のは、軍配形という珍品で、はじめて実物を見た(たとえば地質ニュース No.52 1958年12月号 地質調査所(産総研)に解説記事あり)。世界で(宇宙で?)これ1個しかないかもしれない。
The most interesting display was chalcopyrite that had a triangular habit. The upper left specimen is a very rare parallel twin that resembles a gunbai (sumo referee's fan). See for the detailed crystal faces Chishitsu News No.52, The Geological Survey of Japan, 1958.
鉱物以外でも、考古学、人類学、動植物学などといった分野の標本がキレイに陳列されていた。
展示床面積がそれほど広くない中、実際のナマの標本が、印象的に展示されていた。東大というと、形式主義というか権威主義というか、かちっと系統だったものを好むイメージがあるけれど、そういうのを払拭するにじゅうぶんな展示手法だろう(丸の内のキッテにも分館があって、そっちはなんかやりすぎ感があるが)。あと博物館の研究者がいろんな装置をつかって研究するようすが、ガラス越しに見えるしかけになっていて、おもしろかった。極秘研究はできないな、ここでは。