東京ミネラルショー(池袋ショー) Tokyo Mineral Show 2021

コロナの嵐が過ぎ去った(かにみえる)つかの間、池袋でおこなわれている東京ミネラルショーに行ってきた。来場者数的には去年よりちょっと多い感じだった。

I went mineral shopping to Ikebukuro in this apparently calm weekend in the Japanese coronavirus disease.

1. マダンの方鉛鉱 Galena from Madan

Borieva Mine, Madan ore field, Smolyan Province, Bulgaria(ブルガリア マダン地域 ボリエバ鉱山)
83 × 55 × 37 mm / 287 g

方鉛鉱のスピネル式双晶が連晶したもの。直径 3 cm までの板状の方鉛鉱が7、8個林立している。以前、ロシアのダリネゴルスク産秩父産の同様の標本を紹介したが、このブルガリアのやつは見た目がよかったのでついまた買ってしまった。表面はやや錆びていてギラギラした輝きこそないが、この立体感がたまらない。

A piece of spinel-law twin galena. I have shown similar galena samples from Dalnegorsk, Russia, and Chichibu, Japan, but this Bulgarian one was better in the three-dimensional constitution.

2. カプニックの黄銅鉱 Chalcopyrite from Cavnic

Cavnic, Maramureș, Romania (ルーマニア カプニック鉱山)
80 × 60 × 40 mm / 209 g

ほぼ石英と黄銅鉱のみからなる標本。両面に結晶がくっついており、どちらを正面にするか悩ましい。日本の東北地方の石英・黄銅鉱脈から産出する標本と雰囲気がにており、「耳つき双晶」に準ずる結晶もみられる。カプニック(カブニック)地域には大規模な多金属鉱脈鉱床がひろがっているが、一部にはこのような石英・黄銅鉱脈があり、東北あたりとおなじような熱水環境、鉱化作用があったのかもしれない。

This piece is almost purely composed of chalcopyrite and quartz. Both sides are crystalized. It looks similar to chalcopyrite crystals from the Tohoku district, Japan. There are penetration twins with ears (mimi-tsuki twin). I guess a similar hydrothermal mineralization process might occur in this Romanian field.

ややシャープさに欠けるが「耳付き」に似た貫入双晶。結晶幅は約 9 mm。
A chalcopyrite penetration twin with "ears" (crystal width: 9 mm).

以上の2点はおそらくコレクターの「放出品」のようで、ていねいな手製のラベルがついていた。

3. ウチュクチャクアの閃マンガン鉱 Alabandite from Uchucchacua

Uchucchacua Mine, Oyon Province, Lima, Peru (ペルー リマ県 ウチュクチャクア鉱山)
62 × 43 × 36 mm / 125 g

閃マンガン鉱の結晶に石英と菱マンガン鉱とが添えられており、色合いの妙にやられて購入となった。閃マンガン鉱 MnS は方鉛鉱 PbS の鉛原子をマンガン原子に置き換えたような結晶構造をしており、結晶の形も方鉛鉱のそれに準ずる。鉱物のシンプルさに反して、天然において純然たる自形結晶があらわれるのはまれである。mindat.org でしらべると閃マンガン鉱の標本写真の 1/3 近くがここペルーの産地であり、標本市場の稀有な供給源になっていることがわかる。写真正面にみえる長さ 2.5 cm ほどの結晶はおそらくスピネル式の双晶をなしている。一軸方向に引き伸ばされた格好をしておりまるで六方晶の結晶をみるかのようだ。真ん中で破断しているが、両端の端面も一部でていてなかなかの結晶である。

堀秀道「楽しい鉱物図鑑」によると閃マンガン鉱(アラバンド鉱または硫マンガン鉱とも)は不安定な鉱物で、本来は緑っぽい色をしているが空気中ではすぐに酸化して黒くなる。金属光沢も失われて表面がガサガサしてくるそうだ。この標本も結晶表面にニスのようなものを塗って保護しているみたいだ。

I was attacked by the color contrast of alabandite with quartz and rhodochrosite. The biggest crystal (2.5 cm in length) is probably a spinel-law twin like the first galena specimen, and is quite elongated in one direction.

相も変わらず硫化鉱物に夢中、、、である。