尾去沢鉱山の砒四面銅鉱 Tennantite from Osarizawa
秋田県鹿角市 尾去沢鉱山 Osarizawa Mine, Kazuno City, Akita, Japan Size: 45 × 33 × 26 mm / Weight: 78 g 黄銅鉱主体の鉱脈中の空洞に面して四面銅鉱の結晶が多数着生した。結晶サイズは 1 mm ほどと微細ながら、結晶面はたいへんシャープで文字通りおおむね四面体をなし、キラキラとした金属光沢を放っている。一部、黄銅鉱の四面体結晶もみえる。黄銅鉱と四面銅鉱との共生の感じは、 前に紹介した花岡鉱山産 のと共通する(ただし四面銅鉱の結晶の形は異なる)。 A part of cavity surface in a chalcopyrite vein is covered with numerous tennantite crystals that are merely 1 mm in size but showing sharply formed tetrahedral faces with metallic luster. There are also tetrahedral crystals of chalcopyrite. It is similar in occurrence to a piece from the Hanaoka Mine, Odate City, that has previously been shown . 結晶面に蝕像のような模様がみえるところがある。写真幅は約 8 mm。 黄銅鉱の四面体結晶もみられる。写真幅は約 5.5 mm。 尾去沢からは砒素に富んだ四面銅鉱が出ることが昔から知られており、添えられていた茶色くすすけた古いラベルにも「砒黝銅鉱」とある(これは砒四面銅鉱の昔の呼び名)。「日本鉱物誌」(改訂版=1916年、第三版・上巻=1947年)によると尾去沢の砒四面銅鉱はやや紅色を帯びた鉄黒色の四面体式もしくは d(110) を主面とする斜方十二面体式で、径 5 〜 10 mm に達するとある。また分析によればアンチモンをまったく含まない純粋な砒四面銅鉱だという(ただし微量の鉄は含む)。この標本に関して言えばあんまり「紅色」の感じはしない。 「南部鉱物標本解説」(原著 南部秀喜、1996年)によれば、四面