國學院大學博物館 Kokugakuin University Museum

常設展示より、巨大な埴輪の数々。
Huge haniwa clay images from the permanent exhibition.

東京・渋谷にある國學院大學博物館にいってきた。古伊万里の詩文の猪口に端を発して、江戸期の庶民と漢詩との関わりに興味をもっていたところ、ちょうど「唐詩選」についての特別展示があるというので、小雨の中、表参道駅から歩いて向かった。「唐詩選」の特別展関連の記事はこちら

この博物館の前身は大学が所有する考古学資料の陳列所だったらしく、とくに縄文時代から古墳時代の遺物の展示が充実している。照明が落とされた館内にさまざまな器物がライトアップされて、とてもきれい。はじめて訪れたのだが、期待以上におもしろくて、たいへん満足した。

I went to Kokugakuin University Museum in Shibuya, Tokyo, mainly to see a special exhibition on how Japanese people in the Edo period enjoyed Chinese poems of the Tang Dynasty (see my previous post). However, the permanent exhibition, especially archeological materials in the Jomon to Tumulus periods, was more interesting than I thought.

縄文の土器の数々。急須や薬缶みたいな注ぎ口がついた土器(注口土器)は、現代の陶芸家でもまねできないんではないかというくらいに味わい深いものがある。
Earthenwares in the Jomon age (about 16000 to 3000 years ago).
古墳時代のやきものの棺桶(陶棺)。色の違う土で三角のモザイク模様をつくっているのがおもしろい。のちの「練上手」に通ずるのだろうか?埴輪もそうだが、こんな大物をきれいに焼き上げるのは相当の困難があったはずだ。
A clay coffin in the Tumulus period (about 1600 to 1200 years ago). It is interesting that a triangle mosaic pattern is made with clays of different colors.
古墳時代の装身具・石製品。左側の筋がついた大きな石は、玉をつくるための砥石のようなもの。こんな素朴な道具で硬い石をよくも丸く加工したものだ。
Accessories in the Tumulus period. Big stones with some grooves were used to make rounded faces of beads and balls.
黒曜石(珪酸分に富むマグマが急冷してできる天然のガラス)の原石。石器(ナイフや矢じり)の材料としてもちいられた。上段はすべて北海道産、下段は本州・九州などで採れたもの。黒曜石の産地は限られており、どの産地の石がどこでつかわれたかを追うことで、旧石器時代〜縄文時代の交易の実態が推定できる。
Obsidian ores from Hokkaido (upper shelf) and other places in Japan (lower shelf), which were used to make knives and arrowheads. We can guess trading activity in the Paleolithic and Jomon ages by mapping the places where it was produced and used.
この博物館の前身である考古学陳列室は1928年に樋口清之(当時学生、のち國學院大學教授)によって設けられた。わたしはこの写真をみて「600(ロクマルマル)こちら情報部」の人だ、と思い当たった。まだこどもの頃、毎夕6時から放送されていたNHKのテレビ番組で、たしか週1回レギュラー出演して、視聴者からの質問に答えていた。
The museum is originated from an exhibition room of archeology that was established in 1928 by a student, Higuchi Kiyoyuki (he became a professor of Kokugakuin University later). The photograph reminded me that he answered to questions from children at an NHK TV show once every week when I was a child.

國學院大學は明治はじめ、天皇が国家の中心にあるという国家神道の理論を研究し、神職を養成するための政府の機関として生まれたので、この博物館の常設展示は基本的には縄文時代の祭祀が時代を経て神道へ体系化されたという歴史解釈に沿っている。また大学の歴史に関する展示室もある。なお常設展示といくつかの企画展の解説動画がyoutueチャンネルで公開されている。

Some of the permanent collections can be seen in the museum's YouTube channel.