染付 菊花文半筒猪口 二種 Chrysanthemum
右 Right: 18世紀 18c / 口径 width 65 mm / 高さ height 50 mm
左 Left: 19世紀 19c / 口径 width 61 mm / 高さ height 45 mm
菊の花を縦に半分に割ってそれらを上下に配する、独特のデザインの猪口である。右は18世紀前半の古伊万里で、このような形状のものを半筒[はんつつ]と呼んでいる。呉須の発色がよくなく、くすんだ色をしている。しかしこれが逆に味があるといって、民藝運動などで盛んにもてはやしたのである。見込みは五弁花だが、これはコンニャク印判。「ハンコ」のようなもので文様をつけたもの、と言われているが、どういう道具をつかったのか、資料がなく、詳細は不明らしい。
A novel design of a chrysanthemum blossom split vertically. The right one is an 18th-century old Imari cup. The blue glaze is not very fine, but it was rather praised in the Mingei movement in the early 20th century. The bottom five-petal symbol is made by a print of a soft (konnyaku) stamp.
左は幕末の京焼で、いってみれば古伊万里の模倣品である。高台裏の銘から、作者は水越与三兵衛[みずこしよそべえ]とわかる。当時からしても 100 年以上前のデザインに美しさを見出して、それをおそらく煎茶碗につくったものだろう(骨董屋にはこれ1個しかなかったが)。古伊万里をあつめていると、たまにこういうおもしろいものに出会ったりする。
The left one is not Imari ware, but made in Kyoto in the 19th century. The sign at the bottom reads Yozo (MIZUKOSHI Yosobei). He probably made this tea bowl as a homage to the old Imari.