唐花龍文 小猪口 Flower and Dragon Patterns
17世紀末〜18世紀初頭 Late 17th to Early 18th centuries 口径 top width: 55 mm / 底径 bottom width: 39 mm / 高さ height: 39 mm 呉須、赤絵、金彩でいくつかの異なる文様を描いて、それらをモザイク状に組み合わせている。なかなかおしゃれなデザインだ。1700年前後に有田でつくられたもので、古伊万里の分類でいうと「元禄様式」というものに該当するだろう。 すでに紹介した海外向けにつくられた器 と雰囲気が似ているが、この品はおそらく国内向けで、富裕層の宴席などで、調味料入れとして刺身皿に添えられていたものとおもわれる。縁の裏側に四方襷、見込みに五弁花が描かれているのは、後に流行するのぞき猪口と同様。 全体にひび割れ(貫入)が入っている。骨董業界ではこういうのは甘手(あまて)といって正規品より劣るとされ、安く売られる。しかしこうした品が伝世しているということは、江戸時代の人々が甘手の器をある程度許容していたことを示唆する。また縁に欠けを修繕した跡もある。キズものは嫌いだが、この時代の猪口はめずらしいので研究心が湧いて手元に置くことにした。 Several pictures and patterns are drawn with blue, red, and gold glazes, and they are combined like a mosaic in a unique manner. It was made in Arita around 1700, categorized as the Genroku (1688-1704) style in the Imari-ware history. It looks similar to Imari wares that were exported to Europe, but this cup was probably used in Japan as a container of sashimi sauce. The cross pattern at the inner rim and the flower mark at the bottom are the same as those of nozok