足尾の板状黄銅鉱 Pseudotabular Chalcopyrite from Ashio
栃木県日光市 足尾鉱山 Ashio Mine, Nikko City, Tochigi, Japan Size: 14 cm × 8 cm × 6.5 cm / Weight: 945 g ほとんど黄銅鉱からなる塊状の鉱石。自形の結晶は足尾独特のもので、サイズこそ大きいが結晶面はシャープさを欠き、表面がざらざらしている。多くは厚板状をなす。その他、針状の石英や、曲面黄鉄鉱も伴っている。標本商によると塊状のカジカ鉱床ではなく、鉱脈タイプの鉱床から得られたものだという。 A piece of copper ore from a vein-type deposit in the Ashio mine comprises fairly large chalcopyrite crystals with unsmooth irregular faces, as is often found from Ashio. The crystal is mostly flattened, resembling a thick plate. 板状、というよりはミニハンバーグか五平餅が積み重なっている感じ。 銀白色に輝くのが黄鉄鉱で、 足尾独特の曲面を有するもの 。 足尾の黄銅鉱は結晶形のバラエティに富んでいて、なかでもめずらしいのが板状もしくは湾曲した葉状の結晶だ。ここに示した標本は結晶がルースなので判然とはしないが、板状結晶に分類していいものだろう。一般に黄銅鉱は微弱ながら磁力があって、ネオジム磁石にかすかに反応するが、この標本の磁力は例外的で、かなりよく磁石がくっつく( 磁性鉱物の番付 でいったら幕内下位くらいか)。こんなに磁力がある黄銅鉱はめずらしいとおもう。結晶表面が黒っぽく変色しているので、なにか微細な磁性の強い鉱物が付着しているのかもしれない。結晶が板状ということは、もしかしたらはじめ磁硫鉄鉱として結晶して、その後黄銅鉱で交代されたもので、多少の磁硫鉄鉱成分が残っているのかもしれないし、あるいは曲面黄鉄鉱に白鉄鉱がかなりの割合で含まれているのとおなじように、より磁力の強いキューバ鉱(CuFe 2 S 2 )が黄銅鉱中に混在しているのかもしれない(足尾にキューバ鉱がでるなんて話は聞い