石ショッピング Stone Shopping
東京のコロナ禍もひとまず収束してきた、梅雨真っ只中の雨の土曜日、ひさしぶりに石を買いに大塚に行った。
On the last rainy Saturday when the corona disaster was passing through Tokyo, I went to a mineral and fossil shop at Otsuka.
赤鉄鉱 Hematite
この標本はほぼ赤鉄鉱のみからなり、金属光沢のある六角板状の結晶が多数連晶する。赤鉄鉱はありふれた鉱物だが、ここまで立派な結晶はなかなかみられない稀なもので、惹かれるものがあった。
This piece is made of almost pure hematite. There are numbers of hexagonal platy crystals with metallic luster.
燐灰石 Apatite
黄色〜飴色の透明な燐灰石の結晶がカサカサした母岩に成長している。いくつかみられる緑がかった黒色の柱状結晶は、その形状と磁石に反応することから、鉄に富んだ輝石だろう(灰鉄輝石?)。あと紫外線短波で緑色に強く蛍光する部分があった。質感からして玉滴石とおもわれる。くわしくしらべればほかにもいろんな種類の鉱物があるのだろう。この産地はこのようなジェム品質の燐灰石で有名。堀秀道「楽しい鉱物図鑑」(草思社)にもここの標本の写真が紹介されている。大きなトレイに30個くらいいっぱい売られていて、気に入ったのを選んでみた。
Yellow to partly orange transparent apatite crystals grow on a porous rock. There are dark green prismatic augite crystals (hedenbergite?) that attract a magnet a little. Hyalite is also visible as a green fluorescence under a short-wavelength UV light.
行ったのはプラニー商会というお店で、店内は鉱物と化石の標本が 7:3 くらいの割合でたくさん並んでいる。今回はセールということで足を運んでみた。その後、鉱物標本の陳列用資材(?)が足りなくなっていたのでそれを買いに池袋のハンズに雨の中歩いていった。入り口で体温チェックされた。
The shop is Planey Company. An early summer sale was held that weekend. I also walked to Tokyu Hands Ikebukuro to buy a material for mineral display. Everybody’s body temperature had to be checked at the entrance.
補記
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島崎英彦氏の「鉱石の生い立ち(7) その他の鉄鉱床 外国」という記事にメキシコのセロ・デ・メルカド鉱山の鉄鉱石について記されている。磁鉄鉱(のちに赤鉄鉱化している)の塊の中に石英、輝石、燐灰石が埋まっているような標本の写真も紹介されている。このような鉄鉱石は他にもいくつか産地が知られていて、「鉄酸化物マグマ」というほとんど酸化鉄からなる特殊なマグマ(溶融体)が噴出して固化した結果このような鉱床ができたという。近年これが熱水交代鉱床の一類型と考えられていることに異論を唱えておられる。
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セロ・デ・メルカド鉱山が鉄山だとは知らなかったのだが、あの数ある標本の中からこれら2つを選んだということは、あの日はかなり鉄づいていたのかしら。