細倉鉱山のウルツ鉱 Wurtzite from Hosokura
宮城県栗原市鶯沢 細倉鉱山 Hosokura Mine, Uguisuzawa, Kurihara City, Miyagi, Japan Size: 84 × 58 × 40 mm / Weight: 300 g 繊維状のウルツ鉱の結晶がほうきみたいに放射状に集合している。色は微妙に深緑がかっていて、樹脂光沢とあいまって、なんとなく高級な海苔みたいな感じがする。方鉛鉱と共存する(たとえば拡大写真右側の細い石英脈で切られているあたりは方鉛鉱)。細倉鉱山のウルツ鉱(六方晶の硫化亜鉛)は、実際は閃亜鉛鉱(立方晶の硫化亜鉛)に変化しているとされるので、正確には「ウルツ鉱後の閃亜鉛鉱仮晶(仮像)」というべきで、添えられている凡地学研究社のラベルにもそのように記載されている。 Fibrous crystals of wurtzite radially aggregate with galena. The color seems to include dark-green, reminding me of Japanese nori . Hosokura's wurtzite is said to totally be altered into sphalerite. Therefore, this is a specimen of sphalerite pseudomorph after wurtzite, as is shown in the label of Bon Chigaku Company. 宮城県北部に位置する細倉鉱山は鉛と亜鉛を目的とした鉱山で、大規模な裂罅充填式の熱水鉱脈鉱床を有した。歴史は古く、江戸時代には仙台藩の直山だった。1930年代からは三菱が経営し、日本有数の鉛・亜鉛鉱山として発展したが、1987年に閉山。現在は鉛の精錬事業が当地で継続している( 細倉金属鉱業のホームページ など)。 細倉産の鉱物標本は鉱床の規模の割にはあまりでまわってないようだ。その中でも有名なのは緑色の蛍石と方鉛鉱・閃亜鉛鉱等とが互層した縞状の鉱石標本。酸化帯もあったらしく、東京大学博物館のデータベースに掲載されている和田標本に片鱗がみられる( これ とか これ とか)。ここに示したいわゆる「繊維亜鉛鉱」も細倉を代表する標本といえ