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Showing posts from November, 2020

足尾の槍状方解石 Spear-like Calcite from Ashio

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栃木県日光市足尾町 足尾鉱山 Ashio Mine, Nikko City, Tochigi, Japan 標本幅 width: 4.5 cm / 重さ weight: 61 g 飴色透明〜やや白濁した犬牙状の方解石結晶。犬牙状といってもよくあるタイプとは違って、より鋭く尖った、槍状とか錐状と形容すべき結晶形が目を引く。これは日本では足尾独特のもので、 和田維四郎「日本鉱物誌」(改訂版、1916年) に記載されているところの Ω(6.5.-11.1) を主面とする結晶とおもわれる。六角錐の頂点が別の結晶面で切られていたり、板状に近い扁平な結晶があったり、いろいろバリエーションがある。上の写真の左側にみえる上半分が白濁したひし形薄板状のものは、また異なる晶相なのだろう。 Yellowish to milky white scalenohedral calcite. This is narrower than usual "dog-tooth" calcite, probably composed of Ω(6.5.-11.1) that is peculiar in Japan to Ashio according to Wada Tsunashiro's "Minerals of Japan" (1916). The spear's tip is cut by a different surface. A thin diamond-shaped plate shown in the top photo will be a different type.  反対側。 足尾はいろんな意味で特筆すべき鉱物産地である。鉱床の規模が大きかっただけでなく、多種多様な鉱物を産出した。おもに銅鉱が採掘されたが、錫やタングステン、ビスマスなどの金属も出た。その他方解石、燐灰石、蛍石が多産し、ラドラム鉄鉱などめずらしい鉱物もみられた。 Mindat.org によれば足尾で確認されている鉱物は 50 種を数える。そしてここでしめした槍状方解石の他にも、板状・葉状の黄銅鉱とか、六角柱状の磁硫鉄鉱の連晶とか、独特な結晶形状がみられたことも特筆すべき点である。 The Ashio Min

花岡の石膏 Gypsum from Hanaoka

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秋田県大館市 花岡鉱山 Hanaoka Mine, Odate City, Akita, Japan 対角長さ diagonal length: 11.5 cm / 重さ weight: 190 g 透明な石膏の単結晶。ひし形の台形みたいな、あるいは金のインゴットを斜めにひしゃげたような、石膏結晶としてはもっとも典型的な形状をなす。大きさはかなりのものだが、花岡鉱山はこのような石膏の大結晶を多く産出したことで知られる。和田維四郎「日本鉱物誌」(改訂版、1916年)には主軸方向に 18 cm のものがあったと記されている。結晶面がほぼ完全にでているのが、この大きさにしては貴重である(ただし上の写真の反対側は劈開面)。傷だらけだが、石膏はモース硬度 2 のやわらか鉱物の代表なのでしかたない。佐藤伝蔵「大鉱物学・下巻」(1925年)によれば b(010) の劈開面の硬度は 1½ と、それと直交または斜角の方向の面よりやわらかいという。 A pretty large transparent single crystal of gypsum. Hanaoka was a famous kuroko metal mine and was also known in Japan as a locality of large gypsum crystals. Wada Tsunashiro wrote in Minerals of Japan (1916) that the biggest one was 18 cm in length. 台形の上面にあたるのが b(010)。この面だけ透明感に乏しい。和田「日本鉱物誌」によると花岡の b 面は「ときに曇る」そうで、たしかにそのとおりだ。手前の面が l(011) で、もうひとつの m(120) 面よりもよりつぶれた台形(富士山みたいな形)にみえる。 The top face, b(010), is obscure as described by Wada's Minerals of Japan. 台形の底面にあたるもっとも広い面は劈開面。佐藤「大鉱物学」によるとこの b 面に平行な劈開面は真珠光沢をしめす、という。たしかにそんな気がする。 The bottom is a c