釈迦内の硬石膏 Anhydrite from Shakanai
秋田県大館市 釈迦内鉱山 Shakanai Mine, Odate City, Akita, Japan 標本高さ height 70 mm / 重さ weight 400 g 黒鉱型石膏鉱床中の硬石膏の塊。粘土質の母岩付近は灰青色、内部は淡い紫色に色づいている。硬石膏は直方晶(斜方晶)系で、三方向にへき開があるが、そのうちの一方向がとくに完全で、そのへき開面が強く光を反射する。黒鉱鉱床では、閃亜鉛鉱や方鉛鉱などを主とする黒鉱鉱体の周囲に、石膏帯をともなう場合が多い。石膏には二水石膏(いわゆる石膏 CaSO 4 ·2H 2 O)と無水石膏(硬石膏 CaSO 4 )とがあるが、後者は鉱床の比較的深部に出るようだ。産状については 長崎ほか「釈迦内鉱山における石膏の産状」鉱山地質 177号 1983年 、にくわしい。 Almost pure anhydrite in a kuroko -type deposit. The color near the clayish bedrock is blue-grey, and the interior is pale violet. The cleavage is perfect in three directions, and the most perfect one creates a lustrous surface. In a kuroko -type deposit, a gypsum deposit often cooccurs with kuroko (black ores) consisting of sphalerite and galena. Anhydrite tends to occur in a deeper part than gypsum. 紫外線長波のもとで赤く蛍光する。短波ではあまり蛍光しない。(マンガンを含む)方解石の蛍光と似ている。一般的には硬石膏は蛍光しないものとされているが、たとえば Gemdat.org によるとドイツ産のもので赤く蛍光する例があるという。 このあたりの黒鉱鉱床の閃亜鉛鉱はオレンジ色に強く蛍光する が、もしかしたらそれと関係があるかもしれない。 It looks red under a long-wavelength UV light