院内鉱山の濃紅銀鉱 Pyrargyrite from Innai
秋田県湯沢市(旧雄勝郡雄勝町) 院内鉱山 Innai Mine, Yuzawa City, Akita, Japan Size: 89 × 55 × 34 mm / Weight: 179 g 火山砕屑岩とおぼしき母岩に銀に富んだ熱水が網状に貫入し、濃紅銀鉱が晶出したものとおもわれる。見たかんじ黄鉄鉱を多量に含み、微量の閃亜鉛鉱、黄銅鉱、方解石、および一部玉髄質の石英をともなう。濃紅銀鉱に顕著な自形結晶は見当たらないが、その存在は独特の赤色からすぐにわかる。そのまわりの黒っぽい部分の鉱物種はいまいちよくわからない。加藤昭「硫化鉱物読本」(関東鉱物同好会編、1999年)によると濃紅銀鉱は輝銀鉱とは共存せず、脆銀鉱、雑銀鉱、四面銅鉱などを伴うとある。 添えられていたラベルの古さかげんからすると、おそらく1940年代かそれ以前の標本である。院内鉱山は1600年前後から開発された歴史ある銀山で、とくに1800年代になって採鉱・製錬技術が向上し、日本でも指折りの産銀高をあげた。しかし鉱脈枯渇、銀価格の下落により、明治40年(1907年)に山元製錬を廃止、大正10年(1921年)には採掘も休止した。戦争中は金属不足を補うために再稼行し、戦後も継続したが往時の繁栄は戻らず、昭和29年(1954年)にふたたび休山した。 It looks that a silver-rich hydrothermal vein penetrates a volcaniclastic rock. Pyrargyrite is easily identifiable by its red color but the black mineral around it is unsure. The vein also includes pyrite, and some sphalerite, chalcopyrite, calcite and quartz. An old label suggests this was collected around or before 1940s. The Innai mine was one of the most renowned silver mines in Japan, accounting for a considerable p...