投稿

9月, 2025の投稿を表示しています

酒田の土人形 Sakata Clay Dolls

イメージ
招き猫 Beckoning Cat 高さ 19 cm ねこれくとさんのページ やその他ネットの情報をもとにすると、山形県酒田市でつくられた土製の招き猫でまちがいないだろう。大げさな装飾がなく、写実性を重視したデザインだったかとおもうが、でもなんとなくお顔が人間っぽいかんじがして、独特のおもしろさがある。酒田は最上川の河口に位置し、山形県内外との交易で古くから栄えた。この猫さんを店先に置いて、商売繁盛をねがったのかもしれない。 This must be an earthen maneki-neko made in Sakata City, Yamaga, Japan, according to online information sources. The craftsperson would have chosen a realistic design, avoiding a caricatural expression. It is interesting, however, the face looks like a human being. Located at the mouth of the Mogami River, Sakata has been a trading city from old times. This beckoning cat might be displayed at a shop or a office in Sakata, hoping for a good business. 現代の「招き猫」像とは一線を画したデザインだ。制作年代は特定できないが、すくなくとも昭和前期かそれ以前のものだろう。鉄道網が構築され、都会の流行が押し寄せて、地方の風物が失われようとしていた時代だと思うが、東北の田舎にはまだこうした「古き良きもの」が残っていた。 ちょっと前のめり。多少の傷はあるものの、胡粉が全面きれいに塗られていて、すべすべしている。 首輪がかわいい。背中になにか文字(前の所持者の落書き?)が書かれている。 底がちょっとへこんでいて、おなじ東北地方日本海側の秋田の八橋人形との類似性を感じる。厚手の土人形で、持つとずっしり重みがある。 狆(ちん) D...

平清水のやきものと人形 Hirashimizu Earthen Wares and Dolls

イメージ
先月、山形市の平清水地区を訪ねた。ここは江戸後期からつづくやきもの産地として有名で、相馬、会津本郷と並んで東北地方の三大窯業地に数えてよいだろう。以下、平清水関連の最近の収集物を紹介する。 Last month, I went to Hirashimizu, Yamagata City, which is known to produce ceramics since the early 19th century and is presumably one of the three biggest potteries in the Tohoku district, ranking with Soma and Aizu-Hongo. Here is some acquisition relating to the Hirashimizu pottery. 1. 湯たんぽ  Hot Water Bottle (Bed Warmer) 高さ 14 cm / 横幅 23 cm 両端が閉じられた円筒形の器で、中にお湯を入れて、冬寒いときに寝床、とくに足のあたりを温める湯たんぽとしてつかったらしい。昭和期になると金属製のものが多く出回ったが、それ以前の湯たんぽはこのような陶製がふつうで、類品は他地域でもみられる。この手の白化粧をほどこした器は平清水ならではのものだ。全体がまるっこくて、見た目にも温かい。古いやきもので俵壺(ひょうこ)というのが16世紀前後の朝鮮にみられるが、瓜二つだ。ちょっと前に秋田の業者から求めた。 Filled with hot water, this cylindrical vessel was used in winter to warm a bed and especially around feet. Ceramic bed warmer was common in Japan before metallic one became in use in the 20th century. Decoration with white engobe is a distinguished feature of Hirashimizu. The rounded shape and texture seem to ...

秋田の古い花立てと寺内焼について Old Flower Vases Made in Akita

イメージ
これから紹介するやきものは、仏前に花を供えるときにつかう、いわゆる仏花器の類である。江戸後期から明治初期に秋田でつくられたものと推測する。 The flower vases shown below were used in a temple or in a religious situation, probably made in 19th-century Akita, Japan. 白岩焼? 仏花器 左は高さ 15.9 cm、右は高さ 15.5 cm。 左の花立ては、古物商の言を信ずれば、秋田県仙北市白岩(しらいわ)地区で江戸期につくられたものだ。秋田で仕入れたと言ったから、すくなくとも秋田産である可能性は高い。ずいぶん煤けていて、長いこと油煙やお香の煙をあびつづけてきたことを暗示する。右は某ネットオークションで入手した。これも底に近い部分が汚れている。産地は不明。出品者は九州あたりのやきものだろうと言ったが、ちょっと疑わしい。 両者は形や細工がよく似ている。粘土の玉を無造作に押しつぶしてくっつけたような「耳」が特徴的だ。肩の部分の筋目、高台のつくりも似ている。器の上半分にかけられた釉薬は、左は茶褐色、右は深緑色を帯びているが、質的には似通っているとおもう。下部の鉄釉(赤釉)については、左はごく薄くしかかかっておらず、ほとんど無釉に近い(汚れていてよくわからない)。右は秋田のやきものにありがちな釉調である。 こうした陶製の仏花器は19世紀の日本ではありふれたものだが、全体からかもしだされる雰囲気からすると、どちらもおなじ産地の器のような気がする。どちらも白岩焼だと言われれば白岩焼のように思える。 The left one was sold as an old Shiraiwa earthen vase. The color indicates it was smoked by candle and incense long time. The right one was sold at an online auction. There is also a stain in the lower part. The seller said it might be from Kyushu, but I don't...